エモの名は。

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話し合いたい女と逃げたい男。バチェロレッテは「言語化スキル」の可視化がエグい。

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Amazon Prime Videoで、10月9日からバチェロレッテが放映されています。バチェラーシリーズとは違った「女性が選ぶ」という番組設定もさることながら、初代バチェロレッテ福田萌子さんの素敵さが留まるところを知らず、女性陣からの評判は非常に高いかと思われます。私も萌子ファンです。

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Amazon.co.jp: バチェロレッテ・ジャパン シーズン1を観る | Prime Video

 

バチェロレッテ番組キャッチコピーは「今度は、女が選ぶ番。」

福田萌子さんが『”女性が選ぶ、決断する”という事に対するエンパワメントになれば…』というコメントの通り、今の日本で「選ばれるのではなく、選ぶ」を通すことがどういうことかをまざまざと見せつける作りになっています。

 

一部男性からの「胸がなくて男目線でそそられない」「女に嫌われる女の方がリアル」などという「だからお前らダメなんだよ」と言いたくなるような意見も見られますが、そのあたりも含んだ「男と女が考える、結婚や恋愛に対する解像度の違い」を露わにしている番組とも言えます。

 

バチェラーとの違いは結婚への解像度

S3まで放映されたバチェラーとの大きな差分は「本人が結婚をしたいと考えており、その結婚をどんな人とどのように組み立てたいか」に対する問題意識と当事者意識の違いです。

 

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S3の友永さんは結婚に対しての気持ちはS1,2に比べて明確に持っていたと言えますが、彼自身が「どんな人と結婚して、どんな家庭を持ちたいか。またそれを考えた時に恋愛と結婚をどう捉えるのか」についての深堀りが足りなかったのは明確でした。視聴者側からすると決意と覚悟が「後付け」に見える点が大きな違いです。

 

バチェロレッテは2020年10月17日現在、Ep.6まで放映されていますが、回を重ねるごとに「萌子さんが何を重視し、何を基準にしているか」がはっきりと視聴者にも伝わってきます。これは大きな違いであり、この違いは「結婚に対する解像度の違い」で生まれています。

女性がぶち当たる、年齢リミット

萌子さんが結婚したい理由に「子供が欲しい真剣に思って、結婚についても真剣に考え出した。」と語るシーンがあります。女性は年齢による出産のタイムリミットがある分、ある一定の年齢で強く意識するタームがあります。萌子さんが32歳であることを鑑みると大変「リアル」な時期です。

 

「結婚」が必要だと思った時に、相手に何を求めるのか、過去の恋愛が何故結婚に至らなかったのかを真剣に考えた結果の決断は、今までのバチェラーにおける選択とは一線をかくしています。選択に理由があり、その決断を「何故そうしたか」と語れる点は大きな違いです。

 

「何を考えているか」のアウトプット不足が露呈

決断に軸がきちんとある萌子さんは、男性に対しても「理由」の説明を求めます。限られた時間の中で相手を知り、擦り合わせる作業をするためには「言葉にして考えを説明する」ことは不可欠です。

 

これがまぁ、へたくそな男性が多い。

 

し、その「へたくそ」な様は私たち一般女性も日々感じることではないでしょうか。

 

もちろん、女性も恋愛時に「察して願望」を発動させることは多々あります。しかし、男性が「自分の思いや気持ちを言葉にして相手に伝える」ということがいかに苦手か、またその訓練をうけていないかは画面を通してマザマザと見せつけられます。

 

「男同士で恋愛の話をしない」とはよく言ったものですが、誰に対してどんな気持ちを持っているのか?をアウトプットする機会が圧倒的に少ないことを考えると、「自分がどんな女性と、どんな結婚生活を送りたいか」を言葉にする能力が低いのも頷けます。

「向き合う」を「怖い」と感じる日本人男性

象徴的だったのは、S3でのイベント・オーガナイザー藤井さんとの1on1デートです。「藤井さんが何を大事にして、どんな人間になりたいかを知りたい」という目的で会話をする萌子さんと、それに答えられない藤井さん。

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インタビューで「自分の中に答えがなかった(考えてこなかった)」というように、そもそも軸が弱かったという点もありますが、彼女からの質問に対して「あんなに気の強い人を逃げてきた」と表現した点※と、これらを通してスタジオ側でMCのナインティナイン岡村氏が「正直あんだけボンボン来られたら、答えられますか?」と言った点が象徴的でした。

(※藤井さんは萌子さんをネガティブに捉えているわけではないのでニュアンスは確認してほしい)

 

 
同じくナインティナインの矢部氏も「今後も鋭い質問が飛んでくるかもしれない」とネガティブな含みを持たせており、男性陣の「女性に詰められたくない、プライベートでこのような場に立ちたくない」という思いが伝わってくるようでした。

 

日本の夫婦が「阿吽の呼吸」に代表されるような、「言わなくてもわかる」関係を理想としがちな点、また女性には「察してケアする」感情労働を強いて、それを「いい女」と言ってしまう点などの構造問題が浮き上がっていたと言えます。

話し合いは結婚において避けられない

人間、自分の気持ちは言わなきゃわからないので、それを「察して」というのは男女ともにサボりだし、コストの押付けです。とーはーいーえー、これを「怖い」と感じてしまう男性が多いこともまた事実。だが私は拒否していきたい所存です。サボるなよ。

 

番組を見て感じることは、男性個人の問題というよりは構造的に「男はこう、女はこう」という型にハメてサボってきた日本社会のツケであるな、ということです。

 

Ep.6まで残った男性陣は「自分の考えと、萌子さんへの思い」を言語化している人です逆に自分の行動や考えをきちんと伝えられない人はどんどん落とされている。そして残った人たちを見ると「日本男性の大多数の分布」から見ると明らかに外れ値で、前述の「向き合うを怖いと思う」文化がまだ優勢なのでは?と思わされます。

 

萌子さん自身が「情熱をもってその人を捉えられるか」という判断ポイントは入ってきていますが、初期から中盤にかけて、大人数から少人数に絞っていくというフェーズでは「言葉にできるか、なぜその考えに至っているか、またその考えが自分本位の見方ではないか」という点が重要です。


結論:萌子の決断と、誰が残るかが楽しみ

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自分軸で判断していく萌子さんと、それぞれに思いを深めアピールする男性陣たち。ファイナルに向けて加速していく様子が今から楽しみです。

どんな結論になるのか、またそれを通して出場者たちのどんな一面が見れるのか、を引き続き楽しみにしたいと思います!はやく金曜日になって!!!

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